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KICO
sachie
Concept
人間の本質は野生生物と同一であると定義してこれを基盤とする。他の生物とは異なる存在であるかのように振る舞う人間が隠し持つ、ある種グロテスクで生物的な一面に着目する。この一面は、人間が時折みせる獰猛或いは奇妙な姿を指す。理性を持って取り繕おうとする姿と、生物的な内面・挙動とのギャップが、人間のグロテスクさを一層強調させる。これらは感情の変化やふとした気の緩みの中で顕著となり、眼前に現れてくる。例として、表情の変化により表出するシワや、滴り落ちる唾液などが挙げられる。刹那の瞬間に漏れ出た生物的特徴を捉え、類似した幾つかのイメージを重ね合わせる。鑑賞者は合成された断片的特徴から、自己或いは他者の姿を見つけることとなる。この既視感は日常に隣接するものであり、また個人にも備わっているものである。この瞬間的に捉えられた様相を拡大或いは強調して描くことで、人間の生物としての姿を表現する。
日常の中で刹那に現れ、無意識に排除される情景。無機質に整えられた日常の中にあらわれる刹那の情景は、どこかグロテスクで有機的なものである。これは物質に連なるものであり、或いは全く脈絡のないものである。この異質な情景に焦点を当てた作品を「Outtakeシリーズ」と題して、人物・生物を主とする変容シリーズとは別の角度から展開していく。
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